キングダムに登場する桓騎(かんき)率いる軍隊、桓騎軍は秦国軍の中でも際立った存在感を放っています。
もともとは山野に跋扈(ばっこ)していた野盗の集団でしたが、桓騎の手腕により次第に勢力を拡大。秦軍への編入を経て、最前線で活躍する精鋭部隊へと成長を遂げました。
しかしその実態は、略奪と虐殺を厭わない残虐性で恐れられる非道集団。元野盗だった彼らにとって、非情な振る舞いは日常茶飯事だったのです。
ただ一方で、型破りの奇策を編み出し、敵将の心理を突く巧みな戦術で数々の戦果を挙げてきたのも事実。その実力は、敵味方から一目置かれるほどです。
本記事では、そんな両極端とも言える特性を持つ桓騎軍の、組織の成り立ちから主要人物、戦術、内実に至るまで、あらゆる側面を詳細に解説していきます。
この記事のポイント
・桓騎軍は元野盗集団だった経緯から、残虐性と奇策を併せ持つ特異な軍隊に成長した
・将軍の桓騎を筆頭に、実力主義で選ばれた幹部たちが一家を束ねる独特の組織体系を敷いている
・正攻法での戦闘は不得手だが、常人の思考を超える奇襲や心理戦で敵を翻弄する
・軍規律の緩さから、戦況が不利になると脱走する兵も少なくない
キングダム桓騎軍の組織編成と指揮系統
野盗連合体を起源とする異色の成り立ち
桓騎軍の起源は、桓騎が率いる野盗団でした。
桓騎は当初、別の野盗団を潰したり取り込んだりしながら、次第に勢力を拡大。
やがて複数の野盗団が桓騎の下に一つにまとまり、野盗連合のような形になっていったのです。
現在の幹部クラスも、こうして吸収合併される形で、元は別の一家の頭目だった人物ばかり。
ゆえに桓騎軍は、秦軍の正規部隊のような統率の取れた集団ではなく、
各一家の利害関係でつながる寄せ集め的な側面が色濃いのです。
首魁である桓騎を頂点とした指揮系統
その一方で現在の桓騎軍には、しっかりとした指揮命令系統が存在します。
頂点に立つのは言うまでもなく桓騎。
彼の命を受けた数名の幹部が、末端の一家や兵士を指揮し、各個撃破のごとくミッションに当たるのです。
興味深いのは、桓騎軍に合流した一家は、一家のままで幹部の部隊に組み込まれるという点。
つまり桓騎軍とは、一家を最小単位とした軍隊の集合体なのです。
これは元野盗という出自ゆえの、他の秦軍とは異なる大きな特徴と言えるでしょう。
実力主義と功績主義に基づいた幹部人事
現在の幹部は、秦軍編入以前からの古参メンバーばかりですが、
彼らの地位は一家の規模だけでなく、実力と功績に基づいて決まっているようです。
那貴(なき)のように、配下の兵数が少ない一家の者でも、手柄次第で幹部に取り立てられるのです。
しかしその一方で、統率が取れず目立った功績を挙げられない一家は、
たとえ大所帯でも、低い地位に甘んじることになります。
こうした実力主義のもと、各一家は懸命に戦果を競い合っているのです。
特殊技能に特化した一家の存在
また桓騎軍には、幹部直属の部隊とは別に、特殊技能に特化した一家も存在しています。
彼らは普段は独立して活動し、必要に応じてその都度招集される形を取ります。
代表的なのが「砂鬼(さき)一家」の尋問・拷問集団。
捕虜から情報を聞き出す技術は中華一と称され、その非道ぶりは敵兵の恐怖の的となっています。
他にも「ゼノウ一家」など、圧倒的な破壊力を誇る精鋭部隊も存在するのです。
これら特殊部隊の存在が、通常戦力だけでは太刀打ちできない場面での、桓騎軍の切り札となっているのです。
キングダム桓騎軍の戦術 – 奇策と残虐性が生む両極端な強み
- 型破りの奇策と心理戦を駆使する戦い方
- 桓騎軍の戦術の3つの特徴
- 桓騎軍の戦術における成功例
- 総力戦に適さない編成と、窮地に弱い兵の質
- 将軍・桓騎の力量 – 奇策を編み出す類まれな才覚
- まとめ:キングダムの桓騎軍とは
型破りの奇策と心理戦を駆使する戦い方
桓騎軍の戦術で真っ先に特筆すべきは、型破りの奇策の数々でしょう。
敵の意表を突く策謀と、その裏にある深い洞察力は、桓騎の真骨頂と言えます。
たとえば山陽攻略戦では、窮地に陥った味方を見捨てて撤退するという離反の芝居を打ち、
その隙に別動隊で敵将を奇襲。見事な形で討ち取ることに成功しました。
函谷関防衛戦や黒羊山(こくようざん)の戦いでも、常人の思考を超える奇襲で敵を翻弄。
裏をかく策に長けているのは、野盗時代の名残と言えるかもしれません。
またそれに留まらず、城内の住民を殺して亡骸を並べ、敵将の目に晒すといった残虐行為で、
敵の心理を揺さぶる戦法も得意としています。さらには毒を盛った酒を敵陣に忍ばせ、
一網打尽にするという非情な手口すら用いました。
元野盗だった彼らにとって、
略奪や虐殺は日常茶飯事。その残虐性ゆえに「鬼」とまで恐れられているのです。
桓騎軍の戦術の3つの特徴
桓騎軍の戦術は、大きく分けて以下の3つの特徴があると言えます。
奇策と心理戦を軸にした非正攻法
正面からの戦闘は不得手な桓騎軍ですが、その分、型破りの奇策と心理戦で敵を翻弄します。
敵の意表を突く奇襲や挑発、あるいは残虐行為で敵の心理を揺さぶるなど、常人の発想を超える策謀が特徴的。
敵の油断や隙を衝く戦法で、窮地をも好機に変える逆転力を発揮しているのです。
兵力差を覆す大胆な 読みの才
兵力差で劣勢に立たされることの多い桓騎軍ですが、そこは将軍・桓騎の類まれな読みの才で補っています。
敵将の心理を先読みし、大局を見据えた大胆な策を打つことで、兵力差を覆す戦果を挙げてきました。戦況を予測し、敵の意表を突く妙手を繰り出す桓騎の手腕が、勝利の要諦となっているのです。
総力戦での弱点を補う小回りの利く機動力
総力戦に不向きな編成の桓騎軍ですが、その小回りの利く機動力を生かした戦術で弱点をカバーしています。
本隊とは別に精鋭部隊を編成し、転戦させることで敵の懐に飛び込む奇襲を実現。一家単位の小編成を利点に、素早い判断と行動で戦局を動かす戦法を得意としているのです。
このように、桓騎軍の戦術は正攻法の弱点を補う形で、奇策と読みの才、機動力を組み合わせた非正攻法が主体となっています。敵の意表を突き、心理を揺さぶる策謀を以て、兵力差の壁を乗り越える。
その独自性が、秦軍屈指の軍師・桓騎の真骨頂であり、桓騎軍の真髄を示すものと言えるでしょう。
桓騎軍の戦術における成功例
桓騎軍の戦術における具体的な成功例としては、以下のような戦いが挙げられます。
山陽攻略戦での離反の芝居と奇襲
窮地に陥った味方を見捨てて撤退するという離反の芝居を打ち、その隙に別動隊で敵将・媧燐(かりん)を奇襲。見事討ち取ることに成功しました。敵の意表を突く大胆な策で、窮地を脱する力量を見せつけた一戦です。
函谷関防衛戦における奇襲と毒酒作戦
函谷関の守備で秦国軍が絶体絶命の危機に陥った際、桓騎軍は関門の外で待ち伏せし、敵の本陣に奇襲を仕掛けました。さらに毒を盛った酒を敵陣に忍ばせ、混乱に乗じて一網打尽に。絶望的な状況を覆す奇策が功を奏した好例と言えます。
黒羊山の戦いにおける心理戦と奇襲
黒羊山に立て籠もる趙国の龐煖(ほうけん)を討つべく、村人を皆殺しにして亡骸を並べるという残虐行為で敵の心理を揺さぶりました。さらに桓騎自ら龐煖の下へ赴き、挑発して油断させた隙に奇襲を決行。龐煖本人は逃げ延びたものの、大勢力を殲滅する戦果を挙げたのです。
馬陽攻防戦での火計と奇襲
趙国の重鎮・屯騎(とんき)が守る馬陽攻略で、城内に放火するという火計を用いました。兵力差で劣勢だった桓騎軍でしたが、火事で混乱する隙を突いて城内に突入。さらに桓騎自ら屯騎の下へ乗り込み、窮地に陥りながらも部下の奇襲に合わせて屯騎を討ち取ることに成功したのです。
西秦包囲網での離間の計
秦国分断を画策する呂不韋率いる西秦軍団を討つため、桓騎軍は味方の関所に扮して西秦軍団の兵站を断ち、食糧難に陥れました。その隙を突いて総攻撃を仕掛け、西秦軍団を殲滅。離間の計で敵の意表を突き、窮地を脱する勝利を収めたのです。
以上のように、桓騎軍の戦術は奇襲と心理戦を軸に、敵の意表を突く奇策が目立ちます。正攻法での戦闘は不得手ながら、常人の発想を超える策謀を以て、窮地をも好機に変えて勝利を手にしてきました。これらはいずれも、将軍・桓騎の類まれな読みの才と大胆な発想力が結実した好例と言えるでしょう。
総力戦に適さない編成と、窮地に弱い兵の質
しかし一方で、桓騎軍には大きな弱点もあります。
一つは総力戦に不向きな編成と戦術。小規模な奇襲や心理戦は得意でも、
正面からの戦闘は経験不足で手薄なのです。函谷関での失態は記憶に新しいでしょう。
もう一つは、兵士の質の悪さ。元が野盗の集まりだけに、忠義心に欠ける者が多いのです。
窮地に陥ると命からがら逃亡する臆病者も少なくありません。
影丘(えいきゅう)の戦いでは、圧倒的な兵力差で自軍が不利になると、
将校でさえ真っ先に脱走。結果大敗を喫する事態となりました。
こうした内なる敵を抱えているのも、桓騎軍の大きな弱みと言えるでしょう。
将軍・桓騎の力量 – 奇策を編み出す類まれな才覚
とは言え、桓騎軍を語る上で欠かせないのが、将軍たる桓騎自身の力量です。
元は無名の野盗でしたが、秦軍将軍・蒙驁(もうごう)に見出されて配下に迎えられ、
副将にまで登りつめました。合従連衡の術に長け、各地の野盗団をまとめ上げる手腕は、
蒙驁をも上回る勢いだったと言います。
そして何より注目すべきは、戦の基礎知識がないまま次々と勝利を収めてきた、
桓騎の戦術眼。常識外れの奇策の数々は、彼の類いまれな読みの才に裏打ちされたものなのです。
秦国宰相・呂不韋(りょふい)からも「派手な奇策や心理戦に頼りすぎている」と評されはしますが、
それだけ予測不能の策を次々と生み出す発想力を持っているということ。
敵もその点を警戒し、一目置かざるを得ないのです。
まとめ:キングダムの桓騎軍とは
・元野盗という出自から、残虐性と奇策を併せ持つ両極端な性質の軍隊に成長した
・一家を単位とした独特の組織体系の下、実力主義で選ばれた幹部たちが采配を振るっている
・窮地に弱い兵の質と総力戦に不向きな編成が弱点。一方で奇襲と心理戦は敵対する将からも一目置かれる強み
・非凡な読みの才を持つ将軍・桓騎の存在が、常識破りの奇策を生み出す源泉となっている
・その残虐非道にも注目が集まりがちだが、軍規が緩く兵の忠誠心が薄いのも大きな隘路となっている
・独自路線を突き進む桓騎の手腕と カリスマ 性が、今後の動向を大きく左右するだろう
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